S.O.T. 仙骨後頭骨テクニック

目次
S.O.T.(仙骨後頭骨テクニック)とは?
S.O.T.の概要
S.O.T.(Sacral Occipital Technique:仙骨後頭骨テクニック)は、カイロプラクティックの一手法であり、 仙骨(Sacrum)と後頭骨(Occiput)のバランスが全身の健康に大きな影響を与えるという理論に基づいています。
この技術は、神経系・筋骨格系・内臓機能の調和を目的とする包括的な治療法として知られています。
創始者と開発の背景
S.O.T.は、M.B. デイジャーネットD.C., D.O.(Major Bertrand DeJarnette, D.C., D.O.)によって開発されました。
デイジャーネットは、オステオパシー(D.O.)とカイロプラクティック(D.C.)の両方を学び、 それぞれの技術を統合する形でS.O.T.を確立しました。
- 1920年代、デイジャーネットは自身の重度の脊椎損傷をカイロプラクティックで克服。
- オステオパシーの内臓マニピュレーションと、カイロプラクティックの神経学的理論を統合。
- 仙骨と後頭骨の関係性が健康全体に影響を与えることを発見し、独自の治療体系を構築。
S.O.T.の検査方法
S.O.T.は、患者の体のバランスや機能異常を評価するために、詳細な検査を行うことが特徴です。 特に以下のような検査手法を用います。
(1) カテゴリー分類(Category System)
S.O.T.では、患者の身体の状態を3つのカテゴリーに分類し、それぞれに適した治療を行います。
- カテゴリーI(中枢神経系の機能異常)
- 骨盤の安定性の問題
- 硬膜張力の不均衡
- 自律神経の機能異常
- カテゴリーII(仙腸関節の問題)
- 仙腸関節の機能障害
- 筋骨格系の不安定性
- カテゴリーIII(慢性的な痛みや神経圧迫)
- 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛など
- 筋肉の過緊張や関節の炎症
(2) ディアフィールド検査法(Deerfield Test)
- 脚長差の測定によって、骨盤・仙骨・腰椎の歪みを評価。
- ベッド上での脚長の変化をチェックし、仙腸関節や腰椎の状態を判断。
(3) 頭蓋評価(Cranial Evaluation)
- 頭蓋骨の可動性をチェックし、頭蓋内圧の異常を判断。
- 脳脊髄液の循環が正常かどうかを評価。
(4) 内臓反射検査(Visceral Reflex Testing)
- 腹部の触診や特定の反射を利用して、消化器系・泌尿器系・生殖器系の機能異常を評価。
S.O.T.の治療内容
S.O.T.の治療は、患者のカテゴリーに応じた特定の手技を使用し、 骨格・神経・内臓のバランスを調整することが目的です。
(1) ブロック療法(Pelvic Blocking)
- 特殊なブロック(クッション)を仙腸関節の下に配置し、 重力を利用して骨盤のバランスを調整。
- 矯正時の痛みが少なく、安全な治療法。
(2) 頭蓋調整(Cranial Manipulation)
- 軽い圧力を頭蓋骨に加えて、脳脊髄液の流れを改善。
- 神経系のバランスを整えることで、頭痛・めまい・自律神経失調などに対応。
(3) 内臓マニピュレーション(Visceral Manipulation)
- 背骨や内臓に関連する神経を調整し、消化機能を改善。
- 特に胃・肝臓・腸の機能障害に有効。
(4) カテゴリー別の調整
- カテゴリーI: 硬膜の緊張を緩和する手技を実施。
- カテゴリーII: 仙腸関節の調整と筋膜リリース。
- カテゴリーIII: 椎間板の圧力を軽減するためのテクニックを使用。
S.O.T.の効果と適応症
(1) S.O.T.の効果
S.O.T.は、以下のような身体の機能回復に寄与します。
- 神経系のバランス調整:脳脊髄液の流れを促進し、自律神経機能を正常化。
- 骨格・関節の安定化:仙骨・後頭骨の調整により全身のアライメントを改善。
- 内臓機能の向上:内臓反射を利用し、消化器・循環器・生殖器系の働きを整える。
- 疼痛の軽減:慢性的な腰痛、肩こり、頭痛の軽減に効果的。
(2) 適応症
S.O.T.は、以下のような症状に適応されます。
- 慢性的な腰痛・坐骨神経痛
- 頭痛(偏頭痛・緊張型頭痛)
- 自律神経失調症(めまい・不眠・動悸)
- 姿勢不良(猫背・ストレートネック)
- 消化不良・便秘・内臓の不調
- 婦人科系のトラブル(生理痛・不妊)
- ストレスによる筋緊張・慢性疲労
まとめ
S.O.T.は、仙骨と後頭骨のバランスを整え、全身の健康をサポートする包括的なテクニックです。
- 安全性が高く、患者の負担が少ない
- 骨格・神経・内臓を統合的にアプローチ
- 専門家の間でも高く評価され、今後の科学的研究が期待される
このテクニックは、カイロプラクティックとオステオパシーの融合とも言える治療法です。