AK アプライドキネシオロジー

アプライドキネシオロジー

アプライドキネシオロジー(Applied Kinesiology, AK)は、筋力テストを用いた診断・治療技術で、カイロプラクティックを基盤としながら多領域の技法を統合したユニークな手法です。AKの歴史、特徴、具体的な検査・治療法を解説します。


創始者と開発の背景

AKは1964年に米国のカイロプラクター ジョージ・J・グッドハート・ジュニア によって創始されました。

彼は患者の筋肉を触診する中で、特定の筋肉に適切な刺激を与えることで機能が回復する現象を発見しました。これがAKの基盤となる 起始・停止部治療 の始まりです。

その後、オステオパシーや東洋医学の概念を取り入れ、神経リンパ反射や経絡療法、脳脊髄液の流れを調整する手法を加え、より総合的な手技療法へと発展しました。

AKの普及

1970年代に 国際アプライドキネシオロジー協会(ICAK) が設立され、AKは米国全土で広がりました。1980年にはグッドハートが米国オリンピック代表チームのカイロプラクターに任命され、スポーツ分野でも注目を集めました。

現在では、カイロプラクターの約4割がAKを取り入れており、オステオパシー医、歯科医、自然療法医など、多職種の専門家が活用しています。


AKの特徴と優れたポイント

健康の三角形(Triad of Health)

AKは 構造(筋骨格系)・化学(栄養・代謝)・精神(ストレス・感情) の3要素が健康を維持するために重要であると考えます。筋力テストを通じて、どの要素が崩れているのかを見極め、バランスを整えることを目的とします。

AKの診断と治療の違い

AKでは筋肉の強さを単に評価するのではなく、 筋反応を身体内部の状態の指標として活用 します。例えば、内臓機能の低下があると、それに関連する筋肉が弱くなるという理論(内臓-体性反射)に基づき、筋力テストを診断ツールとして使用します。

また、AKの治療は カイロプラクティックの脊椎矯正、オステオパシーの頭蓋調整、経絡療法、栄養指導 などを組み合わせ、患者ごとに適した施術を選択する包括的アプローチを採用しています。


具体的な検査方法と治療法

筋力テストの方法と評価基準

AKの徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing, MMT)は、特定の筋に適切な姿勢で力を加え、その応答を評価する方法です。

  • 正常(強い):筋が安定して抵抗できる
  • 異常(弱い):筋がフッと力を失う

術者は力の入れ方や患者の姿勢に注意しながら、筋力の変化を感じ取ります。

代表的な検査手法

  • セラピー・ローカリゼーション(Therapy Localization)
    • 患者が異常が疑われる部位に手を当て、筋力が変化するかをチェック。
  • 椎骨チャレンジ
    • 特定の椎骨に軽い押圧を加え、筋力の変化を観察。
  • 栄養テスト(Nutrient Testing)
    • サプリメントや食品を口に含んだ際の筋力変化を調べ、適切な栄養補給を判断。

主な治療アプローチ

  • 起始・停止部治療:筋肉の付着部に刺激を与え、筋力を回復。
  • 神経リンパ反射・神経血管反射:体表の反射点を刺激し、内臓機能を調整。
  • 脊椎・関節矯正:カイロプラクティック技術を活用。
  • 頭蓋調整(クラニオセラピー):脳脊髄液の流れを整え、自律神経を調整。
  • 経絡療法:東洋医学のツボ刺激でエネルギーバランスを調整。
  • 栄養・食事指導:筋力テストの結果をもとに栄養補給の指導。
  • 心理的アプローチ:ストレスによる筋力低下を解消。

まとめ

アプライドキネシオロジー(AK)は、筋力テストを活用した統合医療の一形態であり、カイロプラクティック、オステオパシー、東洋医学、栄養療法などを組み合わせた包括的なアプローチを提供します。