なぜ頭蓋療法を取り入れたのか?

頭蓋療法を取り入れた理由
私には二人の娘がいます。すでに成人していますが、次女の出産時(1993年)の出来事が、頭蓋療法を取り入れる大きなきっかけとなりました。
次女の出産は難産で、産道の途中で長く留まっていました。生まれてすぐに呼吸障害が見つかり、保育器に入れられ酸素吸入が必要となりました。医師からは「羊水が肺に入った可能性がある」と説明されましたが、原因ははっきりしないまま、退院が遅れることに。
ようやく8日後に退院し、初めて自宅で抱いた我が子。しかし、表情は疲れているようで、目の白目部分は黄ばんでいました。さらに、胸を小刻みに震わせ、苦しそうにハッ、ハッと短く喘ぐような呼吸を繰り返していました。
私はすぐに「産道で長く留まっていた影響」と「頭蓋の呼吸メカニズム」が気になりました。頭蓋縫合の異常で、脳への血流や酸素供給が滞っているのではないかと考えたのです。(日本ではあまり知られていませんが、米国では多数の症例報告があります。)
直ちに後頭部を確認すると、後頭骨の上縁が縫合に沿って5ミリほど陥没していました。素人でも分かるほどの段差があり、強いショックを受けました。しかし、頭蓋が正常に戻れば呼吸障害も改善するかもしれないと考え、その場で施術を始めることにしました。
仙骨は頭蓋骨と繋がっている
新生児の頭部は柔らかく未完成なため、直接触れるのは避け、頭蓋と繋がる仙骨からアプローチしました。
この発想がすぐに浮かんだのは、ピアーズテクニックのX-Ray分析や、米国のオステオパシー医師Dr.サザーランド、SOTの創始者Dr.デジョネット、CSTのDr.アプレジャーの理論を学んでいたからです。
ただし、新生児の頭蓋矯正の経験はなく、当時は今のようにインターネットもないため、情報も限られていました。それでも、我が子を助けたい一心で試みることにしました。
次女を抱き、右手の中指と薬指を仙骨(S1-2)に固定し、左手で後頭部を支えながら、ゆりかごを揺らすようにゆっくりとリズムをとりながら施術を続けました。圧の加え方や方向には細心の注意を払い、一日2〜3回繰り返しました。
4日目の変化
そして4日目の朝、次女の表情は明らかに変わり、微笑んでいるように見えました。さらに、あの黄ばんで濁っていた白目が、赤ちゃん特有の透明感のある美しい輝きへと変わっていました。
呼吸のリズムも整い、めり込んでいた後頭骨の縫合部分が正常な位置に戻っていました。私たちは心から安堵し、喜びました。
ターニングポイント
その後も同じ施術を続け、呼吸が完全に安定するまで見守りました。それ以来、次女の呼吸障害が再発することはなく、健康に成長しました。
もし医師の指示どおり様子を見ているだけだったら、どうなっていたかは分かりません。しかし、我が子を自分の手で助けられたことに感謝しています。何もせずに時間が経過し、もし問題が出たら、きっと後悔していたでしょう。
この経験を通じて、頭蓋骨の呼吸メカニズムが実際に機能し、調整によって改善することを確信しました。この出来事が、私の施術における大きな転機となりました。
以降、私は頭蓋療法への探究心を深め、国内外のセミナーやワークショップに積極的に参加しました。そして、それまでの治療スタイルを見直し、1時間に2〜3人の予約枠を、1人に絞ることを決意。より丁寧な頭蓋調整を行うための時間を確保しました。
信念を持って行う施術
私の頭蓋調整は、単なる流行りの「小顔矯正」や「美容目的の施術」とは一線を画します。
30年以上の経験と学びを積み重ねてきた頭蓋仙骨系の調整は、確かな理論と実践に基づくものです。
この施術が必要な方に届けたい。
そして、一緒に喜びを分かち合いたい。
最後に、自然治癒力は本当に存在します。
身体は常に回復しようとしています。アジャストメント&リリースは、その力を最大限に引き出す手助けとなるものです。
あなた自身の治癒力と可能性を信じてください。
もし縁があれば、お会いしましょう。